孤高の天使



ドンッと鈍い音をさせてよろめいたアザエル。

すかさず、アザエルの血で書かれた術式を聖剣で破った。

聖剣で突かれた術式はパチパチと音を立て、霧散するように消えた。

アザエルはラバルに押し倒されながら驚いた表情をする。

私もとっさの行動が吉と出たことに驚きながらも、本来の目的の為に口を開く。




「ラファエル様を消させはしません!」


注意を引きつけておけさえいればいいと思って叫んだ言葉であるため威勢だけはいい。

しかしアザエルはフッと笑い、どこにそんな力があるのか、細い腕でラバルをはね飛ばす。

ラバルの大きな体はアザエルの片腕一本で数十メートル先まで吹っ飛んだ。

思わず声を上げそうになるが、ここで動揺を表に出してはならない。





「これで防いだつもりですか?」


アザエルは手首の傷に二本指をあて、傷に沿って指を滑らせる。

すると瞬く間に傷が消え、血も拭われた。

アザエルの行動に私は目を見張った。

てっきりまた術式を創り直すものと思っていたのに。

驚きの表情を隠せないでいる私に気づいたようにアザエルが口を開く。





「私が行く必要などないのですよ。あそこには私の忠実なる操り人形がいるのですから」

「ッ…!」


忘れていた…あそこにもアザエルに操られた四枚羽根の天使がいることを。

チラリとルーカスの方を見ると、焦った様子で首を横に振った。

あともう少し…あともう少しだけアザエルを引き留めておけさえすればいい。




しかし、次の瞬間目に入った光景に息を飲んだ。