孤高の天使



焦燥感を抱きながら鏡の中を見るが、依然としてラファエルは身動き一つしない。

愛する者を失った喪失感に身を任せるように。

ラファエルを襲う喪失感は自身の敵を見失ったためか、それとも再天して死んだ者は永遠に生まれ変わることはないと知っているからか。

どちらにせよ、このまま我を失っていればアザエルからとどめを刺される。



私が止めなきゃ…――――

想いに反して動かない体をもどかしく思っていると…



『イヴ』


かすかに届いた小さな声。

その声の元をたどる様に視線を動かせば、エメラルドグリーンの瞳と目が合う。

四枚羽の天使に囚われたルーカスは何かを訴えかけるように私に向かって頷く。

そして、ルーカスの口元が動き始める。

傍で隙あらば飛びかかろうかと言わんばかりだったフェンリルも目を閉じて宙で動かない。




かすかに届く言葉の羅列に私は瞬時にそれが何か察した。

と同時に、それがアザエルに届いてしまわないかひやひやした。

今私がすべきことは一つ。

ゴクリと息を飲み、傍にいたラバルに目くばせする。

するとラバルは私の意志をくみ取ったかのように目を瞬かせ、次の瞬間、目にもとまらぬスピードでアザエルに飛びかかった。