孤高の天使



「さぁ、また魅せて下さい貴方の“闇”を」


闇というミカエルの言葉にハッと息を飲み、鏡の方を振り返れば鏡の向こうが薄暗い闇に覆われている。

ラファエルの腕がついた地面からゆっくりと闇が広がり地面を浸食していく。

ミカエルは広がる闇から逃れるように宙に浮きラファエルを見下ろす。

その口元は愉しそうに歪められていた。





『愛する者を二度失った気分はどうだラファエル』


口角を上げフッと笑い、ラファエルを煽るような言葉を投げかけるミカエル。

しかし、ラファエルはその言葉でさえ耳に入っていないようだった。




「おかしいですね。前回は一気に周囲を飲み込むほどの闇を引き起こしたのですが、今回は遅い。闇はより濃くなったことをみると恐らく天界ごと飲み込む気でしょうか」


確かに神に見せてもらった過去では爆発したように闇が球体状に広がり、何もかもを一瞬で消し去った。

けれど今はどうだろう、ラファエルを中心として闇が発生していることは変わりないが、その速度はとても遅く、けれど確実に広がっていっている。

アザエルの言うことが正しければ、あの闇は天界を覆ってしまうほど広がる可能性がある。




そして何より……



「この調子では自分自身もあの闇の中へ身を沈めることになりそうですね」


アザエルのわざとらしい困り顔にふつふつと怒りが沸く。

私は頭の中でこうなることを恐れていた。

ラファエルが闇に飲まれ、自分自身も滅しようとしているのではないのかと。




けれど―――――




「させない……」

「イヴ?」


小さく呟いた私の声にルーカスが反応する。