「あれほど剣を突き立てるなと言ったのに。余程貴方の事が邪魔だったようですね」
私は目に涙を溜めたままアザエルを睨む。
「ミカエル様が持っていたのは聖剣だったのですね」
「えぇ、そうです。あれは魔剣に似せた聖剣。聖剣でなければあの方の前で“イヴ”を滅することが出来ないでしょう?」
同族であるアメリアを滅したというのに顔色一つ変えずにそう言ったアザエル。
やはりあれは魔剣ではなく聖剣だったのだ。
ミカエルが剣に触れた時に拒絶反応がなかったことにもっと早く気付くべきだった。
否、気づいたところでどうしようもなかったのかもしれない。
神殿まではまだ随分と距離があり、事態を防ぐことは出来なかっただろう。
「酷い…アメリアさんには何の罪もないのに」
「彼女も駒にすぎませんから。あの方が覚醒するためのね」
全てはアザエルの欲望のため。
手段を選ばないその様は他人はもちろんのこと自らでさえ犠牲にしても構わないという姿勢が垣間見えた。
この世界を憎んでいるからこそ消し去り、支配したいという欲望は果てしない。
それ程アザエルの抱えている闇も大きいということだろうか。

