孤高の天使



『久しぶりですねラファエル』

『神は神殿だな』


ラファエルはミカエルの言葉に応えることなく底冷えするほど低い声で唸る。




『神に何の用事がある。神を裏切ったお前が何故また天界へ戻ってきた』

『俺の大切なものを取り戻しにきた』


ラファエルは愚問だといわんばかりに言い放つ。

まだ私が生きていると信じてくれていたのね。

ミカエルは顔色を変えずに口元に笑みをたたえて答えた。



『イヴは死んだ』

『それを確かめにいく』


そう言うなり飛び立とうとするラファエルをミカエルが制す。




『まぁ待て。そんなに怖い顔をするな。心配せずとも殺してはいない』


その言葉にピクリと反応したラファエルが足を止める。




『ならばイヴを返せ』

『イヴはお前のものではないだろうに』

『だとしてもお前たちの元に置いてはおけない』


地を這う様な低い声がビリッと空気を震わせる。

ミカエルは一瞬で張りつめた空気に僅かに目を見開き、ラファエルの力を前にしてひるんだ。
しかしそれも一瞬のことで、奮い立たせるように口を開く。