孤高の天使



「神様ここから抜け出せる方法をご存じですか?」

「いいえ。私も何度もここから抜け出そうとしましたが、この空間は内側からは絶対に抜け出せないようになっているようです」


抱いた僅かな希望も淡く消えていく。

神が抜け出せなかったのに下位天使以下の私がこの場所から抜け出せる事はできないだろう。

そもそもあのアザエルが抜け出せるような檻をつくるわけがない。

ここから抜け出すことは不可能なのかもしれないと思ったその時。





「ひとつだけ方法があります」


その言葉に弾かれたように顔を上げれば、神が緊張を忘れないその顔つきで私を見据えていた。





「イヴ…貴方が呼びかけるのです」

「呼びかける?」


唐突な神の言葉に首を傾げる。

訝しげな表情をした私に神はさも当然かのように頷いた。




「頭の中で強く念じながらこの結界の外にいる者に呼びかけなさい」

「けど…私にはそんな力ないです。私は生まれつき聖力が小さすぎて能力を持つことすら叶わなかったのですよ?」


今まで何もできなかった者に、さぁやりなさいと言っても無理なわけで。

能力もない私に結界を超える思念をとばすことなど不可能だ。



しかし――――


「大丈夫です、イヴ」


神は何故かそう言って微笑んだ。




「数百年前、私が何故貴方を次期神に選んだか分かりますか?」


不意にそんな問いかけをした神に向かって首を横に振った。