『次に目覚めた時は“イヴ”という存在は貴方の記憶から消えているでしょう』
『イ…ヴ……』
そんな……
私はラファエル様の記憶を消そうとしたの?
ラファエル様を一人この世に残すから?
この時どれほどの決意がいっただろう。
愛する人の記憶の中から自分を消すことがどれほど辛い事か。
例え自分が死にゆく時であろうと、否、死にゆく時だからこそ愛する人に自分という存在を刻み込んで欲しいはず。
けれどイヴはラファエルを自分から解放する決意をした。
そしてまた、ラファエルもイヴの決意を察したからこそ何も言わずそれを受け入れたのだ。
胸が詰まる思いで二人を見つめる。
イヴとラファエルの額がパァァ…と一際強い光を発して消えた。
イヴはゆっくりとラファエルから距離を取る。
額にあてた手を離せば、ラファエルが目を開く。
眩しそうに何度か目を瞬かせた後、アメジストの瞳はイヴを捉えた。
瞬間、琥珀色の瞳が動揺に揺れた。
怖さと、悲しさと、不安が一気に押し寄せたような、そんな瞳。
しかし、何とか自身を奮い立たせようとイヴはグッとそれに耐えて口を開く。

