『駄目だ……』
かろうじて形を保っているイヴの手を握り、声を絞り出すラファエル。
イヴの手にすがる様に顔を寄せ俯くラファエルの頬には涙がつたう。
イヴはその涙を見て、初めて後悔と悲しみの色を顔ににじませた。
『ごめ…んね……』
ラファエルに微笑みかけていた先ほどの笑顔は虚勢を張っていたのだ。
イヴだって本当は辛くて悲しいはず。
どんなに虚勢を張っても積み重ねてきた二人の時間が長い程、別れの辛さは大きくなるから。
『許さない。俺より先に逝くなど許さない…イヴ……俺を一人にしないでくれ』
どんどんイヴの体を侵食していく魔剣の力にラファエルは焦燥感を募らせる。
隠すことなく自分の弱さを見せるラファエルにイヴは目を伏せて首を横に振る。
『一人じゃ…ない……神様になったら…たくさんの人たちを…感じられる…から…』
『言っただろ、俺は君一人で良いと』
ラファエルは駄々をこねる子供のように、イヴを困らせるだけであることを承知の上でそう言う。
イヴは案の定困ったように笑って、ラファエルの頬を撫でた。
『ラファエル様がまた独りぼっちにならないように…魔法をかけてあげる』
ラファエルはイヴの言った事の意図が分からず訝しげな表情をする。
そんなラファエルにイヴはただ微笑んで『起こして』と言う。

