孤高の天使



『イヴッ!』


声の限り叫んでイヴの名を呼ぶラファエル。

無意識に体がイヴのもとへ行こうと動き、それを阻むように体にまとわりついた天使たちの腕に悪態をついた。




『離せ』


低く冷ややに発せられたラファエルの声と共に天使たちを振り返った瞳が紅く染まった。

そして六枚羽からは本来ならば天使に在らざる闇の粒子が浮かび上がる。

天使たちは慌てた様子こそ表面に出さなかったが、体が闇の粒子に反応して拘束する力が緩んだ。





バサッ―――――

拘束され折り曲げられていたラファエルの六枚羽が勢いよく広げられる。

一枚一枚が分厚く大きな六枚羽が開いたことで天使たちは重い羽根に吹き飛ばされた。

吹き飛ばされた天使たちがガンッ…と樹の幹にあたる音がするが、それを確認するでもなくラファエルは意識を失ったイヴのもとへ飛んでいた。

イヴの体が地面に打ち付けられる寸前、限界まで伸びたラファエルの腕が落下地点に伸びる。

そして、指先までピンと伸びたラファエルの腕に気を失ったイヴが倒れ込んできた。

気を失ってズシッと重い体を受け止めるラファエル。





『クッ…ハ…っ…』


ラファエルは飛んできた勢いを殺すことが出来ず、倒れてきたイヴを自身の胸に抱きかかえたまま背中から地面に滑り込んだ。

砂埃が舞い上がり、本来のシンとした静けさを取り戻す。

辺りにはラファエルの苦しそうな声と息遣いが聞こえてきた。