『頼むから…やめてくれ。俺を想うならそんな事しないでくれ…』
ゆっくりと言い聞かせるようにそう口にするラファエル。
イヴの魔剣を抑える力に限界が来ていることが分かっていたからこそ諭すようにそう言ったのだ。
けれどイヴは目を伏せただ黙って頭を振った。
『それは無理です』
困ったように笑いながら告げられたイヴの言葉にラファエルは目を見開く。
そしてイヴは目じりに涙を浮かべながら綺麗に笑う。
『だってラファエル様の事を愛しているから』
そして、次の瞬間――――
『イヴッ!やめろッ――!』
耳をつんざくようなラファエルの声を聞きながらイヴは魔剣を自分の胸へ突き立てた。
ズッ…と重く鈍い音。
『ッ…―――』
魔剣が刺さるその痛みがどれほどのものか計り知れない。
白煙を上げた手の痛みとは比べ物にならないはずだ。
しかし、イヴはグッと口を噛み、一声も上げることはなかった。
代わりにラファエルに向けたのは、魔剣を突き立てる前にみせたあの笑顔。
ふわりと笑うその顔は「大丈夫だよ」と言っているようだった。
笑う余裕などないはずなのに、そう見せたのはラファエルを想っての事だろう。
そして、魔剣に貫かれたイヴの体は遂に限界を超え、フツリと糸が切れるように意識を失った。
後ろに倒れていく様はまるでスローモーションのようで、硬く目を閉じたイヴは受け身を取る態勢など出来ぬまま倒れていく。

