孤高の天使




『イヴ!魔剣の力に抗うな。そのままでは君の命が危ない』


尚も魔剣の力に抗うイヴにラファエルは焦ったように声を上げる。

ラファエルを拘束する天使たちも抑えるのがやっとなのか、皆足を踏ん張ってラファエルにしがみついていた。





『イヴ!』


それはもう、すがるような声だった。

ラファエルの呼び声にイヴは視線を持ち上げ、ラファエルに向かって柔らかく微笑んだ。

何かを決心したような、そんな笑顔にラファエルは嫌な予感を感じ取った。






『イヴ?』


ラファエルの声が掠れる。

イヴはラファエルの呼び声を耳で聞きながら、持っていた魔剣を自分の意志で握りなおす。




瞬間―――――


『くっ……ハッ…ぁ…』


イヴは痛みに耐えるように唇を噛みしめる。

焼けただれた両手はとっくに限界を通り過ぎているはずだ。

イヴにはもう魔剣に抗う力などこれっぽっちも残っていないはずだった。



けれどそれでもイヴは最期の力を振り絞って抗う。

魔剣がギギッ…と小刻みに揺れながら動き、ラファエルに向いていた切っ先がその軌道上から逸れる。




そして魔剣の切っ先がたどり着いた先、それは―――




『ッ…やめろッ!イヴ!』


その光景を前にラファエルがヒュッと息を飲み、叫ぶ。

イヴはあろうことか自分の胸に魔剣の切っ先を向けようとしていた。