『イヴ』
ふと呼びかけられた声にイヴが弾かれたように顔を上げる。
ラファエルはこの状況に相応しくない柔らかな表情をしていた。
そして、ラファエルはイヴにとって最も残酷なことを口にする。
『それで俺を貫くんだ』
『ッ…そんな事出来るわけない。ラファエル様を傷つけるなんて…いや……』
ラファエルが口にしたこと…それは自分を殺せと言っているようなものだった。
イヴは他でもないラファエルからそう言われたことに酷く悲しみ、強く反発した。
けれど、それでラファエルが引くわけがない。
『俺も君が傷つくのは見ていられない』
諭すように静かに、けれど揺るぎない気持ちを見せながらラファエルは言う。
『君は俺に光をくれた。温かくて、優しくて、初めて人を愛する喜びをくれた。イヴ、君は俺の命よりも大事なんだ』
そう言ってラファエルは眉尻を下げ、困ったように笑った。
イヴは目を見開き、息を飲んでラファエルを見つめた。
しかし―――――
グイッと魔剣が意思をもってイヴをラファエルの元へ向かわせる。
『いや…だめ……だめなの…』
イヴは咄嗟に地面を踏みしめ、ラファエルを殺そうとする魔剣の力に抗おうとした。
もうイヴの聖力も底をついているはずなのに…

