孤高の天使



すると……――――

起き上がったイヴが天使の指差す方向、ラファエルの元へと一歩踏み出した。





『な…に……?』


魔剣にかなりの聖力を吸収されたイヴは自分が歩いている方向さえ分からずにゆるゆると頭を持ち上げる。

その額には汗が滲んでおり、薄く開いた唇からは絶え間なく息が吐かれている。

体力が消耗されていることが目に見えて明らかだ。

もう自分を操る“何か”に逆らう力などないようで、魔剣に引っ張られる様に体を動かしていた。

一歩一歩確実にラファエルの元へ歩みを進めるイヴ。





『ラファエル様』

『イヴ』



イヴが怯える声でラファエルの名を呼んで二人が見つめ合った直後。





『コロセ…』


天使の口から無情に告げられた言葉にイヴがピクリと反応する。

まさかと思った時にはすでにラファエルめがけて魔剣の切先を突き立てていた。




『いやぁぁぁッ』


ギュッと目を瞑ったイヴの声が森に響いた。




そして――――


『クッ……』

シュッと何かを掠める音の後、ラファエルの声が小さく漏れた。