孤高の天使



『いやッ…ぁぁああッ!』

『イヴッ!』


瞬間、イヴの悲鳴が森に響き渡る。

呼応するように大きくなったラファエルの声。

魔剣に触れたイヴの手は焼けただれているのではないかという程の音を立てて白い煙を上げた。

唇を噛みしめ激痛に耐えるイヴの目からは生理的な涙が零れる。

ラファエルは咄嗟にイヴのもとへ駆けつけようとするが、三人の天使たちの拘束がそれを許さない。

引き止める天使たちの腕に苛立ちを隠すことなく悪態をつくラファエル。





『お前たちの狙いは俺だろ。イヴは関係ない!』


ラファエルはイヴに魔剣を拾えと命じた天使に向かって叫ぶ。

こんなにも焦りを表に出すラファエルは見たことがなかった。




『私たちはお前を…闇に葬らなければ…ならない』


天使は機械的に口を動かし、何か原稿でも読んでいるのではないかという程迷いなく言葉を紡ぎだす。

話がまるで通じない天使に向かってラファエルは苛立ちを露わにする。




『俺を闇に葬ると言うならそうすればいい。だがイヴには手を出すな』

『安心しろ…イヴは…コロサナイ…』


ラファエルが天使の言葉に安堵したのもつかの間。

天使が苦しむイヴに向かって手を向けてクイッと上に持ち上げる。

すると、今まで苦しさにうずくまっていたイヴの体が突然何かの力に引かれるように起き上がった。

はぁはぁ…と息も絶え絶えに呼吸を繰り返すイヴの手には魔剣が握られたままだ。





『コロスノは…お前だけだ』


無表情だった天使が口角を釣り上げニヤリと笑ってラファエルの方へ指をさした。