孤高の天使




『ッ……なんで…』


一番混乱しているのはイヴだろう。

頭は逃げたいと命令しているにもかかわらず足はまっすぐ天使たちの方向を向いて歩くのだから。

抗いも虚しく天使の前まで来ると、天使はおもむろに地面を指差して言う。





『拾え……』


天使が指差した先には地面に転がった魔剣。

イヴはその不思議な力に抗うが、自分の力ではどうしようもないようでゆっくりと腕が伸びていく。




『イヴ?』

『ッ…体が…勝手に……』


少し焦ったような声を上げるラファエルに歯を食いしばり絶え絶えに言葉を紡ぎだすイヴ。

小刻みに震える腕がイヴの意志ではないということを表していた。

しかし必死の抵抗も虚しくイヴの手はまっすぐ魔剣へと伸びる。




そして魔剣に触れる寸前――――



『ッ……いっ…ぁ…!』

『イヴ!』


バチッ…と先ほどよりも大きな火花が散らせ拒否反応を起こした。

ラファエルの大きな声が森に木霊するが、イヴを動かす力は止まらない。

魔剣への拒否反応で一旦は手が止まったものの、イヴの手は再び動き出し、バチバチと拒否反応を起こす魔剣を掴んだ。