『人間界では愛する者に一生の愛を捧げるときに指輪を渡すらしい』
不思議そうに指輪を眺めていたイヴにラファエルが説明する。
そしてその意味を理解したイヴは顔を赤らめて俯いた。
『イヴこれからもずっと俺と共にいてくれるか?』
ラファエルは俯いたイヴの顎を取り、上を向かせる。
イヴはキョロキョロと視線を泳がせた後、観念したかのように顔を真っ赤にして『はい』と答えた。
蚊の鳴くような小さな声だったが、ラファエルには確かに届いた。
『愛している…イヴ』
イヴの顎に添えていた手を持ち上げ、自分の方へ向かせたラファエルは吐息がかかるほどの距離で囁く。
口づけの合図ともいえるその言葉に、イヴはラファエルの黒衣をキュッと握り目を瞑る。
そして、二人の唇が触れる寸前――――
『ッ!』
何かがものすごいスピードで二人の間を遮った。
一瞬でもラファエルが回避を取るのが遅れていれば間違いなくそれと衝突していたであろう。
イヴを突き飛ばすように逃がしたラファエルは瞬間的に移動した反動で苦しそうに小さく声を漏らす。
『ラファエル様ッ!』
イヴは悲鳴にも似た声でラファエルに駆け寄る。
琥珀色の瞳を不安げに揺らすイヴにラファエルは微笑みかけ『大丈夫だ』と声をかけた。

