孤高の天使



この湖は私が最後に天界にいた場所。

朝の礼拝を終えてラバルと共に立ち寄った湖でもあるが、それ以上に夢の中のあの湖と全く同じ光景が目の前にあった。



キラキラと光を反射させる湖面も。

花々が咲き誇る湖の畔も。

全て夢の中の光景と同じだった。






「他の天使が寄り付かないこの場所で貴方とラファエルは逢瀬を重ねていました」


呆然としているところ、神の声に引き戻される様に我に返る。

目線の先には湖の畔に座るイヴ。

夢の中と同じ光景にドキッ…と心臓が嫌な音を立てた。





「何故こんなところで?居住区で会えばいいんじゃ…」

「ここは私の力も及ばない土地で、他の天使たちが寄り付かない場所だったからです。ラファエルにはその方が都合が良かったのでしょう」


憂いた表情をして曖昧な言葉で濁す神にそれ以上聞くことが出来なかった。





私と神の間に沈黙が訪れた時―――



『イヴ』


湖を囲む森の中から嬉しそうに弾む声が響く。

イヴはその声に反応して振り返る前から嬉しそうに顔を綻ばせる。





『ラファエル様!』


イヴは姿を目にもとめていないのに迷いなくその者の名を呼んで振り返った。