孤高の天使




『神の教えに従うだけのつまらない世界で、貴方は私の目に面白く映った』

『それを言うならラファエルの方だろう。私は神に忠実だ』


ミカエルが真面目な顔つきでそう言うと、アザエルは声を上げて笑った。




『確かに、ラファエル様も存じ上げております。天使でありながら異端。神への忠心など微塵も持っていない悪魔の様な天使だとね。けれど彼には“欲”がない』


ラファエルの事を悪魔だと言うアザエルの言葉に口角を上げて笑ったミカエルだったが、最後の言葉に訝しげな表情をつくる。





『神の教えに従い何の不満も不安もなく与えられた温かな場所で過ごしているからか、天使たちには皆“欲”というものがないように思えます』

『何がいいたい』


遠回しな言い方をするアザエルに苛々と言葉を吐き捨てるミカエル。






『神の座に興味がおありなんでしょう?』


その言葉にミカエルはハッとして目を見開く。

秘めていた心の内を読まれた衝撃は大きかったようで、ミカエルは再び警戒心を露わにして睨むようにアザエルを見据える。

するとアザエルは柔らかな笑みを浮かべて何事もなかったのように口を開く。





『そんなに怪しまないでください。私も貴方と同様に神を憎む者です』


横目で窺うような視線を寄越すアザエルにミカエルは明らかな動揺を見せた。

顔を逸らして表情を歪めたミカエルにアザエルはニヤリと笑う。