孤高の天使



「アザエル様が何故こんなところに…」

「このアザエルは貴方の知るアザエルと同一人物ですが、生きる時代が違います。これは数百年前の記憶の中ですから」


神が言うことも分かるが、数百年前の光景のはずなのにアザエルの容姿は今と何一つ変わらないのだ。

まるでアザエルも私たちのように過去へ飛んできたと錯覚させられそうなほどだった。




『貴方は大天使ミカエル様ですね?』

『いかにも。私がミカエルだが何故悪魔ごときが私を知っている』


ミカエルはアザエルの言葉に不振がりながらも答える。




『貴方のお噂は魔界でも有名ですよ。二枚羽の天使として生まれながらその努力と熱心な信仰で四枚羽を手に入れ大天使となったお方だと』

『それで私を狩りに来たのか』


フンッと鼻を鳴らし口角を上げて笑うミカエル。

それに対してアザエルはあからさまな表情を作って『滅相もない』と言う。

しかし自身を称賛する言葉の数々に悪い気がしないミカエルは少し警戒を解いてアザエルを観察する。






『では何故天界へ来た。見たところお前も魔界で権力をふるっている悪魔のようだが』

『申し遅れました。私はアザエルと申します。権力も何も今の魔界は魔王不在の世界ですから力の上下関係などありません』


アザエルはミカエルの前に跪き、不自然なくらいに丁寧な口調で話す。





『天界へ来た理由は…そうですね、貴方に興味を持ったからです』

『私に?』


アザエルを見下ろしながら歩いていたミカエルがピクリと反応して足を止めた。

驚いた顔をして見下ろすミカエルにアザエルは『えぇ』と言って含み笑いを浮かべる。