ミカエルは入ってきたとき同様に荒々しく扉を閉め、部屋の中央に在る椅子にドカッと座った。
テーブルに両肘を置き、手を組んで俯くミカエル。
唇を噛みきるのではないかと言う程ギリッと奥歯を噛みしめて何かに耐えている。
私はそんなミカエルの様子に終始驚いていた。
今までミカエルが静かに怒るところを見たことはあれど、こんな風に物にあたって怒りを露わにするところは見たことはなかった。
ミカエルはテーブルに肘をついたまま俯き、タンタンタンと落ち着きなくつま先を揺り動かしている。
しかし、ミカエルが部屋に入って椅子に座ってから数分も立たないうちに…
バンッ…―――――
今度はテーブルに打ち付けられた拳にビクッと体が跳ねた。
『クソッ…』
苛立たしげな悪態が部屋に響く。
『ラファエルの奴あれだけの力を持っていながら神の座に興味がないだと?ふざけるなッ!』
ミカエルは一人きりの部屋に向かって溜まっていた不満を一気に爆発させる。
グレーの瞳はカッと見開かれ、血走っており、そこに私の知るミカエルはいなかった。
『召集にも応じない奴など大天使の資格はない!あいつに神の座をやってたまるか』
ミカエルとラファエルは仲が悪いと思っていたが、これは予想の範疇を超えていたように思える。
仲が悪いと言うにはミカエルの瞳に映る憎しみの色が濃すぎた。
ミカエルはゼイゼイと肩で呼吸をして興奮する自身を抑えようとする。
そして落ち着いた頃、ゴクリと喉を鳴らす。
『私なら…私が神の座につけば……』
ミカエルから零れた独り言はとても低く、瞳は邪な心を表しているように濁っていた。

