孤高の天使



「イヴ、負の感情は誰もが持っているものなのですよ?それが例えどんなに小さくとも、悲しみや怒りや後悔が繰り返されれば負の感情も大きくなりそれがやがて闇を産むのです」

「神様は何かを後悔しているのですか?」


闇に飲まれる前の一瞬、神の横顔を思い出しながら問いかける。

陰りを見せた神の表情に浮かんだのは悲しみでも怒りでもなかった。

視線は確かに私の方を向いていたのにどこか遠い過去へ思いを馳せているようで、その瞳には明らかに後悔の色が滲んでいた。





「貴方の言う通り私は後悔しています」


神は目を伏せて小さな声で答えた。




「後悔をする者は口をそろえて“あの時あぁしていれば”と言います。けれど当時の私はそれに気づくことは出来ませんでした…」


神が再びその瞳に後悔の色を映し出した時。






バンッ…―――――

私たちのいた部屋の扉が外側から大きな音を立てて開いた。

その音の大きさにビクッと肩を上げて扉の方を見れば、先ほど先に神殿を離れたミカエルがいた。


と言うことはここはミカエル様の家?

部屋は白一色で家具と言えばベッドとテーブルと椅子くらいで、とてもシンプルな造りだった。