『神よ、何故あの二人を行かせるのです!』
途端ミカエルが神に向かって詰め寄る。
『特にラファエル。あいつは大天使の地位を剥奪しても良い程です』
『ミカエル、それは前にも話したでしょう』
神がそう言って微笑めば、ミカエルはグッと言葉を詰まらせる。
ミカエルはまだ何か言いたげな様子だったがそれを飲み込んで椅子から立ち上った。
『私もこれで失礼させていただきます』
床に視線を落としたままミカエルは神殿を出て行った。
神殿には神とバトラエルの溜息が響いたのだった。
私たちの声は聞こえないと分かっていても一連のやり取りは息を吐くのも忘れるほどだった。
特にラファエルが「神の座など興味はない」と口にしたときは、ピリピリと空気が張りつめていた。
「ラファエル様とミカエル様は仲が悪いみたいですね」
「やはり誰が見てもそう思いますか」
思わず本音が零せば、神は力なく笑った。
そして何も言わずに神殿の扉に向かって歩きはじめる。
慌ててその後を追いかけ、神殿の扉を開かずにスーっと通り抜ける。
正門へ続く一本道を歩きながら神は肩を落として口を開いた。
「二人は昔からあんな調子で、顔を合わせればお互い無視。言葉を交わしてもどちらかが我慢ならずにその場を立ち去るのがいつもの事でした」
「二人の間に何かあったのですか?」
前を歩く神に向かって問えば、神は首を横に振った。
「何があったと言うわけではありません。ただお互いが気に食わなかったのです。ミカエルはまるで信仰心のないラファエルの事が。ラファエルは何かと自分の目の敵にするミカエルの事が」
神のものいいからミカエルとラファエルはどうしようもないくらいに犬猿の仲だったことがうかがえる。

