孤高の天使




見たところその大天使はガブリエルでもなく、ウリエルでもなかった。

まずしてその容姿から二人とは違うことは明らかだ。

真っ白の髪は椅子から零れ落ちるほど長く、髪と同色の顎髭もまた腹のあたりまで伸びている。

顔には皺が刻まれ、どう見ても老天使だった。

大天使は本来ならば若い天使が選ばれるのに何故…そう思っていた時だった。





バンッ…――――



『遅くなりました!』


扉を勢いよく開けて入ってきたのはイヴだった。





『ラファエル様早く』


後ろを振り返ったイヴは扉の外に向かって声をかける。

その声にしぶしぶという様子で神殿に足を踏み入れたラファエル。

ラファエルの表情にはイヴと一緒にいた時の様な笑顔はなく、ただ不機嫌に眉を寄せていた。




『遅いぞ、イヴ』

『すみません』


目も合わせず低い声でたしなめるミカエルにイヴは深々と頭を下げる。

するとそれを見たラファエルが更に眉を顰めて口を開く。