「ミカエル様はこの頃から大天使だったんですね」
「えぇそうです。ミカエルは大天使の中でも任期が長く、大天使を束ねる長として天界の為によく尽くしてくれていました」
やはりミカエルは昔から天使たちを、そして大天使たちを束ねる天使だったのだ。
けれどどうしてだろう、少女の表情は曇っていた。
難しい顔をしてミカエルの飛んで行った方向を見上げたまま暫く動かなかった。
イヴと天使もその場を去った頃――
「さて……」
大きく溜息を吐いたかと思えば少女は不意に口を開いた。
「私たちも神殿へ行きましょう。やっと“神”と対面できますよ」
フッと笑った少女は私の手を引いて神殿へと向かった。
“神”ってこの少女の事なのよね。
本当に少女が神様なのか確かめることが出来る。
私たちは先に飛び立ったミカエルを追って移動した。
途中あの長い階段を上がり、正門をくぐる。
正門から神殿までの景色は私の知っている景色と同じもので、とても懐かしく感じた。
神殿までの一本道を通り過ぎ、白亜の神殿へ入る。
閑散としているのは今と変わらないが、ステンドグラスから零れる光が照らす下。
本来ならば神と教えられていた光の球体があるはずの祭壇の代わりには背の高い肘掛け椅子があった。
その椅子の両サイドには二つずつ四人の大天使があり、すでに神殿に赴いていたミカエルが中央の椅子に、そしてその隣に大天使が座っていた。

