スッと私たちの横を過ぎる影。
天空から舞い降りてきたその後ろ姿は四枚の羽を有する天使。
その背中からは物言わぬ威厳と圧倒的な存在感を醸し出していた。
『イヴ』
空から地上に降りたつ寸前でイヴの名を呼ぶ四枚羽の天使。
それを見上げたイヴが驚いた表情をして口を開く。
『ミカエル様!』
イヴは慌てて腰を折り、先ほどまでイヴと口論していた天使は跪く。
この反応を見ればミカエルが彼女たちの上席であることが分かる。
しかも大天使であるイヴが腰を折っているのだからミカエル様はこのころから大天使長だったのだろう。
『神殿へこい。神が呼んでいる』
『はい』
用件だけ述べるミカエルにイヴはやや緊張の面持ちで返事をする。
ミカエルは踵を返すが、「そう言えば…」と言って何かを思い出したように振り返る。
『ラファエルが見当たらん。お前なら居場所を知っているだろう。来るときに連れてこい』
『分かりました』
ミカエルは伝えるだけ伝えてまた飛んできた方向に飛び立った。
この頃からミカエル様には嫌われていたのだろうか、所々言葉に棘がある様にも思う。

