「やっと諦めがついた」


何だろう…なんだか嫌な感じ…

胸のあたりがもやもやして気持ち悪い。




「今回は俺が助けてやれたが、君を狙う者はまだ出てくるかもしれない。だから…」


ラファエルが言葉を切って一呼吸置く。

いや……

続く言葉を聞きたくない…

私の心が警告音を鳴らす。

そっとラファエルが体を離し、眉を寄せて笑いながら続く言葉を紡ぐ。







「君を天界へ帰そうと思う」


「ッ……!」




ラファエル様は…今何て……

衝撃を受ける私をよそにラファエルは傷の手当てに移った。

手際よく私をベッドに座らせるラファエルの顔には、何も聞くなと書いてある。

一番傷の深かった首に手をかざして傷を塞いでいく。

続いて、順に足首、手首へと移った時。





ポタっ……―――――

傷の手当てをしていた手首に涙が落ちた。




「イヴ?」


驚いたラファエルが私を見上げる。

しかし、涙の理由を知らないラファエルは戸惑いながら頬に流れる涙を拭きとる。




「怖かっただろう。早く来てやれなくてすまなかった」

「ちがっ……ふ…っく…」


ラファエルは私があの高さから闇の中に落とされた事を思い出して泣いているのだと思っている。