グンッ―――――

何かに体ごと引っ張られる感覚に身を強張らせる。

体にかかる圧にしがみつくのがやっと。




そして、喉の奥が潰れそうなほどの息苦しさが治まったと思えば…

私たちを包んでいた6枚羽がバッ…と広げられる。



目の前には見慣れた部屋。

温かな暖炉と深紅のシーツが引かれたベッド。

ラファエルは自身の部屋に私たち全員を転送したのだ。

やはり魔王の魔力は他の者とは桁違い。

普通ならこんな荒業できないもの。



けれど、一気に3人の転送は当然体に負担がかかるわけで…



「クッ…はっ…ッ……」


ラファエルが部屋の床に降りたった瞬間、苦痛の声を上げ私たちを抱えたままガクッと膝をついた。




「ラファエル様!」

「大丈夫だ。少し体に負荷がかかっただけだ」


眉を寄せ、浅く呼吸を繰り返すラファエル。





「でも……」


抱えられた腕から降りフェンリルをそっと絨毯の上に寝かせてから、片膝をついたラファエルを覗く。

すると、ラファエルは私を見て何故かハッと息を飲みアメジストの瞳を見開く。