「ゃ……」
そんなに切ない顔をして抱きしめないで。
それは私じゃないの…
私はここなのに……
ポロッ……―――――
心の中の悲鳴が涙となって溢れてくる。
「やだよ…ラファエル様…」
声に出しても届かないと分かっていても溢れる想い。
手を伸ばしたくともはりつけにされて自由は効かず、唯一自由な口が溢れる想いを伝えようと動く。
「私はここだよ……お願い…気づいて……」
水面に映るラファエル様とアメリアさんを見たくなければ目を逸らせばいいのに。
ボロボロと零れる涙で視界が歪む中、私は叫び続けた。
その声がアメリアには届いているのか、ラファエルの肩口に預けていた頭を上げ、私に向かって笑う。
「ッ……」
アメリアが今から何をするかがなんとなく分かって、ヒュッと息を飲んだ。
まさか……
「ラファエル様…」
アメリアが柔らかく呼びかけたのを合図にそっと二人が離れる。
長い睫毛の下にある琥珀色の瞳に映るのは誘惑の色。
誘うような潤んだ瞳は、自分より高いラファエルを上目がちに見上げる。
ラファエルは軽く目を開くが、次の瞬間には目を細めてアメリアの頬に手を差し入れた。

