おそらくここはラファエル様の書斎。
部屋の中は吹き抜けになっているほど広く、左右には2階にわたる本棚が並べられている。
その本の量はとても多く、本棚に入りきれない分は床に積み上げられていた。
奥には大きな窓があるのだろうが、今は厚いカーテンの向こう。
部屋の中を照らすのは暖炉の淡い光だけだった。
そして、部屋の奥―――
窓の前に置かれた椅子に座る人影。
ドキッ……―――
久しぶりにその姿を目に入れ、一瞬のうちに心臓が早鐘を打ち始めた。
机に肘を置き、頭を抱えるようにして手をあてている。
机の上に置かれた書類は手を付けられた様子もない。
どこか具合でも悪いのかもしれない…
そう思った瞬間、何もできないと分かっていてもとても心配になった。
心がざわついて落ち着かない。
「ラファエル様…」
名を呼ぶが、当然のことながら届かなかった。
そして――――――
「ラファエル様」
私の声で呼びかけられた言葉に、ラファエルはバッと弾かれたように顔を上げた。

