バチンッと描いた術式とともに消えたアメリア。
残ったのは転送した後に残る闇の靄のみ…
「しかと見届けろ」
その靄を払い、丸い円盤を宙に浮かべ闇に消えて行った悪魔たち。
フェンリルと二人、闇の滝の上に残される。
ふと悪魔が残した円盤を覗けば、表面が水面のように揺れる。
そして、静まったかと思えばうっすらと情景が水面の中に映る。
「アメリアさん……」
正確には私の姿をしたアメリアがそこにいた。
あそこは……お城?
縦に横に同じ部屋が立ち並ぶそこは見覚えがある。
スタスタと迷いなく歩くアメリア。
幾度も廊下を曲がり、ついた先は突き当りの部屋。
重厚な漆黒の扉の前に立ったアメリアはこちらを見上げフッと妖艶に笑う。
「ッ……」
ちゃんと見ていなさい…と言われているようだった。
アメリアは金縁の装飾がされたドアノブに手をかける。
そして……
キィー…――――
ラファエル様がいるであろう部屋の扉がそっと開かれ、アメリアが入って行った。

