「私の能力はコピー。なりたい相手の血を対価に写し鏡を召喚。この鏡に映った相手の姿形、声までもが私の思うままになるの」
そう言って、私の体になったアメリアは確かめるように全身をチェックしていく。
「なんて貧相な体だこと。これでルシファー様は満足なのかしら」
両手で胸を持ち上げ、溜息交じりに零された言葉にカァ…と羞恥に頬を染める。
「まぁいいわ。この体でルシファー様に愛されるならずっと使ってあげる」
「………」
腕を組み、私の姿で見下ろされる。
けれど、そこに有ったのは恐怖ではなく虚無感。
「それで…アメリアさんは幸せなのですか?」
眉を寄せて問いかける。
すると、愉しそうな表情から一転、アメリアはカッと瞳を見開き声を荒げた。
「知ったような口をきかないでッ!私がどれだけルシファー様を愛しているかも知らないくせに!」
「けれど…他人のふりをして愛されるのは虚しいだけです」
私がそうだったように……
ラファエル様が愛する“イヴ”として傍にいて。
愛していると言われるたびに胸が締め付けられる。
“イヴ”は私じゃない。
あの優しい瞳が見つめるのは“イヴ”へ。
あの広い胸に本来在るのも“イヴ”
あの温かい手が差し伸べられるのも全部…

