あの場にアメリアさんが?
あんな裏路地には誰もいないと思っていた…
ううん…あの時の私はラナに会えた嬉しさで周りが見えていなかっただけなのかもしれない。
私だと気付いてほしくて羽を広げた姿。
あの場を見られていては何の言い逃れもできない。
「何故、天使の貴方が…と言いたいところだけど、魔界には堕天した天使がそこらじゅうにいるものね」
アメリアも堕天使の存在を知っているのか、冷たい瞳が城下町に向けられる。
純然たる悪魔の彼女からしてみれば、堕天使は同種族とは言えないものかもしれない。
「不思議なのは貴方が悪魔化していないままだと言うことだわ。堕天した天使は皆、魔界に舞う闇の粒子を取り込み、羽が黒くなるはず…4枚羽の天使と言えど悪魔化に時間がかかりすぎよ」
ルーカスと初めて会った時に羽が白いことに驚いていたのはこのことだったのね。
何故かしら…と呟くアメリアに私も疑問を持つ。
アメリアの言う通り4枚羽と言えど、闇の粒子に対抗しうる聖力は弱いはず。
この指輪のおかげかしら……
けど、これは魔界に来てしばらく経ってからもらったものだし。
指輪は聖力を増幅させるアイテムでもない。
頭の中でいろんな考えを巡らせていると「まぁ…そんなことはどうでもいいわ」とアメリア。

