「書斎に籠りっきりで、夜会にだって顔を出して下さらないなんて。その原因は一つしかない…」
何も映していないような表情から一転。
キッと私を睨みつけ、口を開く。
「貴方が憎くてたまらないわ」
言葉の通り、憎々しいとばかりに吐きつけられた言葉。
スッと伸びてきた白く細長い手が私の頬にあてられる。
「私は全ての悪魔から選ばれたルシファー様の婚約者だった。純粋な悪魔の血を持つ貴族で、誰もが私をルシファー様に相応しいと言っていた」
頬から首へ冷たい手がなぞる様に下がっていく感触に身体が震える。
しかし、静かな怒りを湛えたアメリアは止まらない。
「だけどイヴ…貴方がここへ来てから全てが狂い始めた。私がルシファー様の妃になるはずだったのに…」
ゆっくりと降りてきた手が私の首筋にあてられ…
「何故貴方ばかりルシファー様の寵愛を受けるというの?」
瞳に映った憎しみの色が濃くなる。
「こんな…4枚羽の天使が!」
「ッ…何を……」
首を締め上げられた苦しさからか。
天使だとバレた動揺からか、とっさに出た声が掠れる。
ドクン…と心臓が嫌な音を立て、バクバクと早鐘を打ち始めた。
「見たのよ。貴方が路地裏で羽を広げていたのを」
明らかに動揺した表情を見せた私に、アメリアはフッと愉しそうに顔を歪めた。

