「何でですって?分からない?」
ピクリと眉を動かし、苛立ちを抑えた言葉が降る。
紅い瞳の中に見えた憎悪にゾクリと身の毛がよだつ。
激しいまでの憎しみと…嫉妬。
それが私に向けられる理由は一つしかない…
「ラファエル様…ですか?」
「そうよ」
おずおずと口にした答えに一層苛立ちを込めた返答が返ってきた。
「それなら…私とラファエル様はもう…」
続く言葉は紡げなかった。
しかし、アメリアは間髪入れずに応える。
「分かっているわ。ルシファー様と貴方が距離を置いたことは」
分かっていたなら何故……
私がラファエル様のお傍にいないなら、アメリアさんも気を揉むことなどないはず。
「私たちじゃダメなのよ…」
「え?」
小さな声で零した言葉に問い返す。
「貴方と別れたと聞いたときは、やっと目を覚ましてくださったのかと思って嬉しかったけど…ルシファー様は貴方と別れてから私はおろか、寄ってくる女は全て遠ざけるようになった」
想いを馳せる様に遠くを見つめるアメリア。

