ガバッ……―――――



「ッ…はぁ…はぁ……っ…」


勢いよくベッドから起き上がり、目を覚ます。

乱れた呼吸を抑えるたびに揺れる肩。

夢から覚めても痛む胸を抑えながら、とめどなく流れる涙。

久しぶりの感覚に戸惑いながらも涙を拭う。




そして、周囲を見渡せば、ベッドの上にいることが分かった。

どこの……と言うにはあまりにも慣れすぎたベッドの上で。

紅を基調とした天蓋が降ろされ、外の月明かりが淡く差し込むベッドはいつもと違うベッドのようだった。

そう思うのは天蓋が降ろされているからだけではない。

きっとこの部屋の主がいないから…




「ラファエル様……?」


天蓋を掻き分け、本来この部屋にあるはずの人の名を呼ぶが、反応はない。




代わりに―――――


クーン……

小さな鳴き声とともにソファーの陰から小さくなったフェンリルが駆け寄る。

自分よりも高いベッドにヒョイっと上ってきて、私の身体にすり寄るフェンリル。




「フェンリル…」


あの夢から覚めたばかりで不安な状態だからか、フェンリルを抱えてギュッと抱きしめる。