お互い顔が見えない状況での沈黙。
私が何の反応もできずにいれば、ラファエルが「すまない」とまた謝罪の言葉を口にする。
「困らせるつもりはなかった……とは言えないな」
フッと自嘲的な笑みを零したラファエル。
零れた吐息とともに体から力が抜けていく。
ずしりと重いラファエルの体が倒れてきて…
ギュッ……―――――
息を詰まらせるほど強い力で抱きなおされた。
「俺は君に何と答えてほしかったのだろうな…記憶のない君に……」
自問自答するように呟いた声に、胸が押しつぶされそうなほどの苦しさを覚えた。
ラファエルの言葉の端々に見え隠れする悲しみと苦しみが私の身体に流れ込んで…
私の中に悲しむ感情などあるはずがないのに。
“イヴ”に向けられたであろう言葉を正面から受け取ってしまって。
切なく締め付けられるのを感じながら…気づけば口を開いていた。
「ラファエル様……」
しかし…――――――
「わたし…「言わなくていい」
ピシャリとはねのけられた言葉はラファエルに届くことはなかった。
「君の言葉を聞くと俺の意志が揺らぐ。俺の意志が揺らげば本当に君を天界へ帰してやれなくなる」
私を天界へ…?
ラファエル様が…本当に……?

