「神が再び俺たちを引き裂こうとするなら…君を手離すなら…世界が壊れてもいい」
酷いことを言っていると分かっているのに…
ラファエルの表情があまりにも切なく。
僅かに震える声が耳に届いた瞬間、悲しさよりも先に切なさが押し寄せた。
世界を壊しても自分の傍から離したくない“イヴ”は本当に愛されていたのだと…
けれど、今日のラファエルはやはりいつもと違っていた。
「そう思っていたが……」
そう続いたラファエルは一旦言葉を切る。
そして、ふわりと優しく抱きしめられた。
「ッ……!」
突然のことにビクッと体を揺らせば「すまない」と謝罪の言葉。
「いえ…あの…少し驚いただけですから」
広く温かいラファエルの胸の中はひどく心地良くて。
口にした言葉はラファエルを突き放すものではなかった。
しかし――――――
「やはり俺では無理か…」
「え……?」
自嘲的な笑いとともに落された言葉。
反射的に顔を上げれば、フッと柔らかに笑うラファエル。
ザワッ――――――
悲しそうなアメジストの瞳を湛えながら柔らかな笑みを向けるラファエルに心がざわついた。
とても…嫌な感じ………

