孤高の天使




「天界に在るはずの君を無理やり魔界へ縛り付け、君が天界へ帰りたいという願いを聞き入れなかったことはすまないと思う」


グッと私を抱える腕に力が入る。

そして、逸らされていたアメジストの瞳がこちらに向けられる。




「君が天界へ帰りたい理由は神の寿命と関係があるのだろう?」

「ッ……何故それを……」



驚いた―――――


神の寿命が尽きてしまうことを、何故ラファエルが知っているのか。

その驚きを隠すことができずに瞳を見開く私に、ラファエルは悲しそうな笑顔を浮かべて口を開く。



「やはり君は次期神候補だったか…」

「ッ…!」



何も言っていないのに、暴かれていく天界の現状と私自身のこと。

正確にはまだ大天使候補であって神候補ではないのだが…

それでも、ここまで見抜かれたことには驚いた。






ということは……――――


「神の命が尽きたらどうなってしまうかラファエル様は知っているのですか?」


恐る恐る聞いてみる。

すると、ラファエルは表情を変えずに「知っている」と言う。

けれどその瞳は冷たく、硬い表情のまま。






「俺は神がこの世から消えようが構わない」


冷酷無比に聞こえる言葉。




けれど……―――――