孤高の天使




「あの聖剣は君に返す」

「え……」



ラファエルの言葉に目を見開く。

何を言い出すのかと思えば、とんでもないことを口にしたラファエル。

私が表情を強張らせたのが分かったのか、ラファエルの表情がフッと緩む。





「あれは元々君のものだ。捨てるなり持ち続けるなり好きにすればいい」


それはそうだけど…

また私がラファエル様の命を狙うとは思わないのだろうか。





「今“聖剣を返すなど信じられない”と思っているだろう?」

「ッ……!」


ラファエルはまるで私の思考が見えているかのようにクスッと笑った。




「安心しろ、俺は君にやられるほど弱くはない」

「ッ……そうでしょうとも。なんて言ったって魔王様ですもの」



心配して損した。

そう思って頬を膨らませながら皮肉を口にするが…




「そうだな…」


力なく笑うラファエルに、なんだか自分が悪いことをした気持ちになる。





「俺は魔王、君は天使…本来ならば相容れない者同士だ」



いつになく弱気のラファエル。

いつもなら悪魔だ天使だなどとは言わないのに…