「ラファエル様、血が…血が止まらない……」
聖剣をベッドへ放り、流れる血を抑えようとするが、思いのほか深く刺さっていた傷口から流れる血は止まらない。
それがたまらなく私の焦燥感を募らせた。
しかし、当の本人は傷など気にしておらず……
「優しいんだなイヴは」
フッと見せた笑顔はどこか哀愁めいていた。
「だが、それでは天界へは帰れないぞ?天界へ帰りたいなら俺を消滅させるしかないとあの天使も言っていたのだろう?」
「なんで…貴方はこの聖剣に刺されると死ぬんですよ?なんでそんな……」
ラファエルが私をたきつける意味。
私はこの時気づいていたのかもしれない…
「君を天界へ帰すくらいならこの身体を使ってでも止めたいと思うからだ」
何の迷いもなくそう言ってのけたラファエル。
そして、真剣な顔つきから一転。
いつもの柔らかな笑みが浮かび「それに…」と続ける。

