「何ここ…」



住所を頼りに来てみると
目の前に高々と聳えるビルの様な建物に、あたしは愕然とした。


そこは学校帰り病院に寄る時
必ず横切るビル。
病院から見てすぐ左。
その距離は僅か数メートルか。

前々から何の会社なのかと
疑問に思ってた場所。




先生にもらった住所の番地は
確かにここ。

きっとこのビル
会社じゃなくてマンションなのかもしれない。


それにしても高級そう。
車もだが、先生はやっぱりお金持ちだと確信した。



「で…どうしよう」



来たはいいが…
鍵もないし、先生が家にいるかもわからない。


後先考えず勢いで来るのは良くないな。


時間はもうすぐ11時。
外は真っ暗
灯りもほとんどない。


選択肢は3つ。

・思い切って部屋に行ってみる

・病院に行って先生がいるか確認する

・このまま帰る




さすがにこのまま帰るのは
来た意味がない気がする。


かと言って
部屋に行って先生がいなければ
中にも入れないし、ただの不審者になってしまう。


…病院に行ってみよう。




と、そう思った時…



「咲桜ちゃん?」