通告が下るのは
こんなにもドキドキするもの…?



「咲桜ちゃんも1度会ったよな?白石柚花って女と…」


「…はい」


「んーと…。それで、たぶんアイツに聞いたと思うんだが…」



言いづらいのか
頭をワシュワシャ掻きながら
言葉を濁らせる。

だけどなんとなく
何を言いたいのか…わかる。



「…婚約の事ですか?」


「…やっぱり聞いてたか…」



聞いてたよ。

先生本人からじゃなくて
婚約相手からね…。



「その婚約の事なんだが…」


「どうして…?」


「え…?」



先生が話そうとしているのに
あたしは邪魔をした。

ツラい宣告を受ける前に
あたしも言いたい事言わなきゃ…って思ったんだ。



「どうして白石さんとの事、言ってくれなかったんですか?婚約してたなんて…。そんな相手がいるのに、他の女と一緒に住んだら…ダメなんですよ」



それがたとえ"患者"でも
それがたとえ"他人"でも
何もなくたって…
男と女には変わりないんだから。



「白石さんだって…あたしが先生の家にいる事に、良い気分なんてしないです…」



あたしがもし白石さんの立場でも絶対イヤだから…。