「泣かんとってくれ。それが一番ええんやって。できれば俺は引き受けたコーチをちゃんとやりたいと思う。お前の為でもあるし、俺の為でもある」 「もう、好きでおったらあかんってこと?」 両目から同時にポトンと涙が落ちる。 「高校にはいっぱい男がおる。今まで俺が束縛しとったからな。はは。これからは自由に好きなようにしてええから」 いや。 いやや。 束縛してよ。 “萌ちゃん、俺以外の男としゃべんな”って言ってよ。 そんな優しい顔せんとって。 笑わんとって。 私はこんなに悲しいのに。