「……何か、他人の過去を盗み見ているようで、気が進みませんね」
佐々木が弱々しい声で呟いた。
「ならお前は見なければ?それに柏木さんは隠してるようにも見えなかったぜ?」
「……確かに…そうですね」
佐々木は気が進まないと言ったけど、気にはなるようで俺の傍を離れようとしない。
結局は俺たちみんな柏木さんの過去に興味があるわけで…
「出た」
パッと、ファーレンハイト社の画面に変わる。
「2009年までは業績は右肩上がり。今から二年前だな」
統計を見ていると、棒グラフの線はひたすら上に上に伸びている。
「2009年の10月。ここで一気にガクンと下がってる」
裕二は棒グラフの線がまるで崖のように折り下がった場所を指差した。
「株価と引き合わせても同様。同じように下がってる……」
おかしい……
ここまで勢いに乗っていた会社がこんな風に簡単にガクリと業績が下がるのはどう見ても不自然だ。
考えられることは一つ…
「何者かの妨害に遭ったな。
柏木さん…誰かの恨みを買ったんだ―――」