千湖と僕の席は近いけど遠い。 窓際に座る千湖は僕の席からは見えない。 右斜め前。 多分、千湖の姿が見える席なら、どんな授業でも起きていられるだろう。 いつも見る夢。 灰色かかった昔。 君が僕に助けの手を伸ばした。 僕はその手を掴めなかった。掴まなかった。 「千鳥、起きなさい」 『ちぃ君、起きてよ』 うん、起きるよ。 君の為に……。 「起きるね、ちいこ」