そのままリビングへ連れて行かれると、ルキアが椅子に座っていた。


ふと頭を上げると、それは神妙な面持ちに見えた。


「ルキアから聞いたよ。樹里ちゃん 」


ケイトは私の肩に触れ、ルキアの前の椅子へ誘導した。


私の隣にはケイト、ルキアの隣にレイも腰を下ろした。


「そう…。1度ここを離れたから、忘れちゃったの? 」


私の言葉を聞くと、3人は目を見合わせた。


「よく勉強したね 」


レイが優しく微笑むと、褒めてもらったみたいで少し嬉しくなった。


「でも、それは少し違う 」


レイはそう続けた。


「普通なら、みんな記憶が消えるはず 」


「みんな…消えてたんじゃないの? 」


誰も覚えてない様子だったけど。


不思議そうにみんなを見渡す。


「1人だけ、記憶が残ってた 」