歪な心臓な心臓は不規則な鼓動を放つ。

この森は全てを闇の中に吸い込んでしまう。

誰も踏み入れることを許されない。

禁忌を犯すものは闇に消える。


ここは闇の森。全ては闇の中。



「はぁはぁ…。」

息を切らして走る人影…。

月は薄い剣のように夜のカーテンから覗く。

男数人がガチャガチャ音を大きくたてながら走り森にこだまする。

走りに走った少女は何かに腕が引っ掛かり、動けなくなった。

一人の男が追いついた。
剣を振りかざしたその時、男の顔が青ざめる。

その目線の上から重低音が響く…。


「私の庭で何をしている?」


男はその声の主に斬りかかる。数秒後には男の顔がなかった。後から来た男数人は

「ばっ…化物!!」
と逃げ出した。逃げ遅れた一人の上に黒いものが覆い被さり、不気味な音が聞こえた。


少女は必死にもがいたが外れず、体の傷から滴る血液は体力を奪い…黒い影が見え意識は途絶えた。