俺はぎこちなく視線を上げた。
そして最悪だと大きく落胆。
俺達の席に歩んでくるのは、トレイを持った私服姿のジミニャーノ。あ、ちっげぇ、元ジミニャーノ。
現在は地味不良として名を挙げている、中学時代の級友。
絶交宣言したり、大喧嘩し合ったり、お互いに傷付け傷付き合った友達がそこにはいた。
あいつのことだから、ぜーってぇからかいたいって思っ「おデート? 圭太くーん」ほぉら、キタ!
額に手を当てる俺を余所に、跳ねたダークブラウンの髪をひょこひょこ弾ませながら歩んで来る健太は俺達の前で立ち止まった。
にやりにやにやっ。
悪意の感じる口角のつり上げに、思わず握り拳。
いや自然現象だろ?
取り敢えず相手を殴りたい衝動に駆られるだろ。な?
俺の心情を読んでるくせに、相手はコホンと咳払いしてにこやかに挨拶。
「こ、こんにちは」
ココロは慌てて健太に会釈。
俺はといえば、「なんで此処にいるんだよ」盛大に悪態をついた。
折角のデートだってのに、なーんでお前が出現…、待てよ。
お前がいるってことはっ、まさか。俺は慌てて周囲を見渡す。
いないよな…、いないよないないよないないよな!
俺のっ、トラウマ!
キャツは退院したと聞いたんだけどっ、アアアッ、今はぜぇえってぇえ会いたくない!
どんなにチーム同士の仲が改善されても、あいつだけは願い下げだ!
好きか嫌いかって聞かれたら、当然苦手だって答えるんだぜ!
間違ったって嫌いとは言わないんだぜ!
あ、本音話、あいつのこと(かろうじて)嫌いじゃない…んだけど、フルボッコされた苦々しい記憶が俺を震わせるんだ。
挙動不審になる俺を心配したココロも、俺のためにキョロキョロ。二人揃って店内を見渡した。



