青騒-I SAY LOVE-


「今だから言えるんですけど、私、ずっと両親が嫌いだったんです。憶えていない両親のこと、一時期は毛嫌いしてお仏壇にも手を合わせなかったんです」


「そりゃ…、なんでまた」
 

「最初は純粋に両親がいないことへの寂しさからだったと思います。
周りの子達はお父さんお母さんがいるのに、なんで私にはいないんだろうって…。
段々と寂しさが八つ当たりに代わってしまったんです。
しかも私、自分の名前が嫌いで…、この名前を付けた両親を恨んだりもしました。今では笑い話なんですけどね」

 
失笑を零すココロの新たな一面に相槌を打ちつつ、ちょい戸惑いを覚えた。

いや普通戸惑うもんだろ?
人の内側を見ちまったらさ。

俺だって例外じゃない。安易に相槌は打てる、でもやっぱ戸惑うわけだ。


だけど戸惑うだけで、彼女に対する気持ちうんぬんかんぬんはないよ。


寧ろ、こういう面を見せてくれる彼女は俺に対して信用を置いてくれているに違いない。だから俺は言うんだ。

「笑い話なら、もうご両親のこと嫌いじゃないんだろ?」

って。

彼女は満面の笑顔で頷いた。
 

「今では、この名前に誇りが持てるんですよ。両親が“心強く優しい人なりなさい”って願いを込めて付けた名前に自信が持てます。そう思わせてくれたのは、きっと高校で出会った仲間達のおかげです。
あ、勿論ケイさんも入ってますよ! 私、ケイさんがいつも舎弟として頑張ってる背中を見て、『あー私も頑張らないと』って思うようになりましたし。なりましたしー…、すぅー…きになりましたし」


ンマー、この子ったらもう!

ちょーっと前まで気持ちを態度で表す子だったのに、口にするようになっちゃってくさ! 顔が熱くなるんだけどっ…、しかもココロ、「ケイさんよりも早く好きになった自信ありますよ」と、ちょっと強気になる。


いや俺の方が早いかもしれないじゃんか。

反論するけどココロ、言うんだ。