青騒-I SAY LOVE-


空笑いアンド神妙な面持ちで彼女を見つめていた俺だったけど、物を、いや思い出を大切にしようとするココロの姿を見て、少しばかし目を細める。

ココロって小中時代はあんま良い思い出がない。


だから小さな思い出でも大切にしようとしている。


150円エピソードのことだってきっと、すっごく小さな出来事で、俺にとってはすぐ忘れちまうどうでもいいことだったに違いない。

それでも彼女は思い出を作っては大切に記憶へと保管しようとしている。


なんだかそんな彼女を見ていると、150円エピソードよりももっと良い、素敵な思い出を作ってあげたくなる。
 

……そうは言っても素敵な思い出って…、何してやればいいんだろうな。


彼女をじっと見つめていたら、ハンバーガーの包装を剥いていたココロと目が合う。

「食べないんですか?」の問いに、俺は誤魔化し笑い。急いでチーズバーガーを引っ掴んだ。

アッブネアッブネ、ココロをガン見してるなんて変態だろ俺。

幾ら彼女だからってガン見するのは宜しくない。ないんだぞ。
 
  
「あ、ケイさん。帰りに和菓子屋さんに寄っていいですか?」
 
 
唐突に振られた話題、異論がないから当然OKを出す。

昭二おじいさん、おトキおばあさんに土産でも買うのかな?

俺の疑問を見透かしたココロはそれもあると頷き、次いで教えてくれた。
お父さん、お母さんにお供える土産を買うんだって。

そういえばココロ、ご両親は亡くしているって言ってたな。
安易に家庭事情のことは聞けないから、今まで触れずにいたけど。
 

「実は私、両親の顔って写真でしか知らないんです。
私が1歳になるかならないかの頃、事故で亡くなったそうなので。
ばあば曰く、二人は私を祖父母宅に預けて県外の友人の結婚式に出る予定だったそうなのですが…、空港に向かう途中で対向車線と激突したらしく……」


眉根を潜めるココロは、静かにハンバーガーに齧りついて咀嚼。

辛いなら話を切り替えても良かったんだけど、ココロは率先して語り部に立った。


そして次の瞬間、俺は思わぬ吐露を耳にしてココロを凝視してしまう。